薪ストーブの暖かさは、薪の乾燥状態の良し悪しによって決まると言っても過言ではありません。含水率が高い薪は煙もタールも多く、燃焼効率が下がり、ストーブ本体にもダメージが出ます。だからこそ「速く・確実に・良質な薪を仕上げる」ことはストーブ生活の基本です。
ここで参考になるのが、ビジネス書で語られる 『仕事が速い人の習慣』 です。
仕事の速さは能力ではなく“習慣”。同じように、薪の乾燥管理も“やり方の工夫”で大きく変わります。
この記事では、仕事が速い人が実践する思考法・段取り・環境づくりを、薪の乾燥管理にどのように応用できるのかを、具体例を交えながら詳しく解説します。
1. 仕事が速い人は「ゴールから逆算」する
▶ 薪づくりも「乾燥完了日」から逆算せよ
仕事の速い人は、最初にゴールを設定し、必要な行動を逆算します。
これは薪の乾燥でもそのまま使えます。
薪の乾燥に必要な期間は、樹種・太さ・気候によって変わりますが、一般的には 広葉樹で1〜2年程度。
ここから逆算し、
- 今年使う薪は、昨年までに割り終わっている状態
- 今年割る薪は2年後用と割り切る
- 乾燥棚の容量を「2年分 × 使用量」で計算する
というように、大きな流れを逆算して整理します。
●逆算思考で変わること
- 急いで割らなくてもいいと分かる
- 焦りが減り、作業品質が上がる
- 必要なストック量を確保できる
仕事同様、「いつまでに必要なのか」を明確にしないと、ムダな動きが生まれます。
2. 仕事が速い人は「段取り」で成果の8割を決める
▶ 薪づくりは段取りの勝負
仕事が速い人は作業前の段取りを極端に重視します。
薪の乾燥管理においても段取りの善し悪しが“乾燥期間”に直結します。
●良い段取りの例
- 風通しを第一に考えた薪棚配置
- 日当たりを確保した庭のレイアウト
- 雨よけの先に決めておく(波板・トタン・タープなど)
- 含水率計の準備
- 太さを揃えて割る
例えば、「今日は薪を割るぞ!」と意気込んでも、場所が整っていなければ効率はがた落ち。
仕事が速い人は、作業時間よりも 段取り=準備に時間を投資 するからこそ、結果的に速く終わります。
薪も同じで、段取りを整えておくと乾燥スピードが大きく変わります。
3. 仕事が速い人は「情報を可視化」する
▶ 薪棚は“見える化”が最も効果的
仕事が速い人は、タスクやプロジェクトを「見える化」することで、判断を速くします。
薪の乾燥管理ではこれを 薪棚の可視化 として応用できます。
●おすすめの見える化
- 年度ごとに棚を分けて管理
- 札やタグで「割った日付」「樹種」を記録
- 棚の前に年間使用量の目安を書いておく
- スマホアプリで在庫量を記録
パッと見た時に「どれがどれだけあるか」が分かるだけで、迷いがなくなり、作業効率は劇的に上がります。
これはまさに、仕事が速い人がスケジュール・タスク管理で行うことと同じです。
4. 仕事が速い人は「優先順位」を一瞬で決める
▶ 薪づくりにも“優先順位の付け方”がある
仕事が速い人は、すべてに手を出すのではなく「重要なものからやる」習慣があります。
薪づくりでも優先順位を決めると効率が跳ね上がります。
●薪づくりの優先順位(例)
- 太くて乾きにくい薪を先に割る
- 日当たりの良い場所から棚を満たしていく
- 樹皮の厚い樹種は早めに着手
- 今年使う薪の移動・入れ替えを優先
全てを同じように扱うと、乾燥期間にばらつきが出てしまいます。
仕事と同じで、「時間のかかるもの」から先に片づけるのが鉄則です。
5. 仕事が速い人は「小さな習慣」を積み重ねる
▶ 薪乾燥も毎日のルーティンで差がつく
仕事が速い人ほど、日々の小さな習慣を大切にします。
薪も同じで、一気にやろうとすると絶対に続きません。
●小さな薪習慣の例
- 朝のコーヒー前に薪棚をチェック
- 週末に雨よけの修繕を少しだけする
- 風が強い日は薪を動かして風通しを良くする
- 月1で含水率チェック
習慣化するだけで、自然とストック量も乾燥状態も安定し、結果的に“速い薪づくり”につながります。
6. 仕事が速い人は「環境を整える」
▶ 薪棚・作業場の整理整頓で乾燥スピードが上がる
仕事の速い人は、デスクや道具が整っているものです。
薪の乾燥も環境が結果を左右します。
●整えるべき環境
- 薪棚の地面を砂利にして湿気をカット
- 風が抜ける方向に棚を組む
- 高さ30〜40cmの地面からの浮かせ構造
- 薪割り場と棚の動線を短くする
- 雨の吹き込みを最小限にする屋根角度
わずかな工夫ですが、この積み重ねが乾燥時間を短縮し、作業の負担も減らします。
7. 仕事が速い人は「仕組みで回す」
▶ 薪も“仕組み化”すると一気にラクになる
仕事が速い人は「自分の能力に頼らず、仕組みで回す」ことを徹底します。
薪づくりでも同じです。
●仕組み化の例
- 棚を「2年サイクル」で標準化する
- 割る→運ぶ→積むを毎年同じ手順にする
- 雨よけシステムを固定化する
- 樹種ごとに棚を区切り、循環させる
- 作業日を年間ルーティン化する
これにより、「どうしようかな」という迷いが消え、圧倒的なスピードで作業が進みます。
8. 仕事が速い人は「ムダをなくす」
▶ 薪作業のムダを洗い出すと速く乾く
薪の乾燥管理でよくあるムダは以下のようなものです。
- 乾きにくい場所に積む
- 不揃いの薪を混ぜる
- 雨よけが甘く何度も濡らす
- 棚の位置が悪く毎回移動距離が長い
- 一度積んだ薪をまた動かす
仕事のムダとまったく同じです。
●ムダを減らすためのチェックリスト
- 作業手順は最短か?
- 乾くロスが発生してないか?
- 設備は適切か?
- 一度で終わる積み方になっているか?
ムダを削るほど乾燥効率は上がり、最短で良質な薪が完成します。
9. 仕事が速い人は「結果を数値で管理する」
▶ 含水率という“数字”を見る習慣を持とう
仕事が速い人は感覚に頼らず、数字を見ます。
薪の場合、その数字が 含水率 です。
- 20%以下で燃焼効率が高い
- 25%以上は煙が増える
- 30%以上は明らかに乾燥不足
たったこの数字を定期的にチェックするだけで、乾燥管理の精度が大きく向上します。
10. 仕事が速い人は「PDCA」で改善する
▶ 毎年の薪づくりをアップデートしよう
仕事が速い人は、やって終わりではなく、次に向けて改善します。
薪づくりも同じで、
- 今年は乾燥が遅かった原因は?
- 棚の向きはベストだったか?
- 雨よけは改善できるか?
- 樹種の組み合わせは最適だったか?
こうした改善を毎年続けることで、乾燥のスピードと品質が進化し、作業負担も確実に軽くなっていきます。
■まとめ:薪の乾燥管理は「仕事が速い人の習慣」で劇的に変わる
薪づくりは力仕事に見えて、実は「思考と段取りの勝負」です。
仕事が速い人の習慣である、
- 逆算
- 段取り
- 見える化
- 優先順位
- 習慣化
- 環境整備
- 仕組み化
- ムダ取り
- 数値管理
- 改善(PDCA)
これらを薪づくりに応用すると、乾燥スピードが上がり、質の良い薪が安定して供給できるようになります。
薪ストーブのある暮らしは、冬だけでなく、薪をつくる過程そのものが“豊かな時間”になります。
その過程をよりスムーズに、より効率的に、より楽しくするために、ぜひ「仕事が速い人の習慣」を取り入れてみてください。



