薪ストーブ前で読む『星の王子さま』 ――所有・効率から離れるという選択

薪ストーブ

薪ストーブの前に座り、ただ炎を見ていると、
「今日は何を生産したか」「どれだけ効率よく進めたか」という問いが、だんだん意味を失っていく。

何もしていないようで、確かに“生きている”時間。

そんな夜に『星の王子さま』を読み返すと、この物語が効率社会への静かな反論だったことに気づかされる。


大人は「持つこと」と「役に立つこと」に囚われすぎている

『星の王子さま』に出てくる大人たちは、皆どこか滑稽だ。

  • 星を所有して満足する実業家
  • 数字だけを集め続ける地理学者
  • 命令と効率だけで動く点灯夫

彼らは真面目で、合理的で、忙しい。
けれど王子さまの目には、何一つ“大切なもの”を見ていない存在として映る。

これは童話の世界の話ではない。

現代の私たちもまた、

  • どれだけ持っているか
  • どれだけ早く、無駄なくできるか

そんな指標で、自分の価値や人生を測ってしまっている。


薪ストーブは、効率が悪い。だからいい。

薪ストーブほど、効率至上主義から外れた道具はない。

  • 薪を割る
  • 乾燥を待つ
  • 火を起こす
  • 空気を調整する
  • 灰を片づける

電源を入れれば終わり、ではない。
むしろ「手間だらけ」で「即効性がない」。

でも、その非効率さこそが、
人を“今ここ”に引き戻す力を持っている。

炎は急がない。
こちらが急いでも、応えてくれない。


「大切なものは、目に見えない」

『星の王子さま』の最も有名な言葉。

大切なものは、目に見えないんだよ

薪ストーブの暖かさも、まさにそれだ。

  • 数値化できないぬくもり
  • 誰かと黙って炎を見る時間
  • 夜が深まっていく感覚

どれも「所有」できないし、「効率」も測れない。
けれど、確実に心を満たしている。


所有を減らすと、責任が増える

王子さまは言う。

君が君のバラを大切に思うのは、
君がそのバラのために時間を使ったからだよ

ここが重要だ。

所有とは「持つこと」ではなく、
関係を引き受けることだと、この物語は教えている。

薪ストーブも同じ。

  • 火を見守る
  • 失敗から学ぶ
  • 季節に合わせて向き合う

所有しているようで、実は関係を育てている


効率を下げると、人生の解像度が上がる

炎を見ている時間は、SNSも通知も役に立たない。
成果も、進捗も、評価もない。

その代わりに、

  • 自分の呼吸
  • 木が燃える音
  • 今日一日の疲れ

そういうものが、くっきりと見えてくる。

効率を下げることで、
人生の解像度が上がる瞬間がある。


まとめ:星の王子さまは「降りる勇気」の物語

『星の王子さま』は、成功の物語ではない。
上に行く話でも、勝つ話でもない。

  • 持たない勇気
  • 急がない選択
  • 見えないものを信じる姿勢

それらを、そっと差し出してくる物語だ。

薪ストーブの前で読むと、
そのメッセージは炎の揺らぎと重なって、
頭ではなく、身体に染み込んでくる。

大切なものは、炎のように見えない。
でも、確かに、ここにある。

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