薪ストーブの調子が悪いとき、つい原因を探したくなる。
薪のくべ方が悪いのか。
空気調整が下手なのか。
ストーブの性能が足りないのか。
けれど、しばらく薪ストーブ生活を続けて気づいた。
問題のほとんどは、火をつける前にすでに決まっているということに。
薪づくりの9割は、
火が見える場所では起きていない。
良い薪・悪い薪の差は、どこで生まれるのか
初心者の頃、「良い薪」とは何かがよくわからなかった。
乾いていればいい。
よく燃えればいい。
そんな漠然とした理解だった。
けれど実際には、薪の良し悪しはもっと手前で決まっている。
- 切った時期
- 割ったタイミング
- 乾かし方
- 置き場所
火をつけた瞬間に見える炎は、
それまでの工程すべての結果にすぎない。
燃えにくい薪は、
その場で失敗したのではない。
数か月、あるいは一年以上前から、すでにそうなる運命だった。
薪づくりは「割ること」ではない
薪づくりというと、薪割りのイメージが一番強い。
斧を振り下ろす姿、割れたときの音。
確かに、象徴的な作業だ。
けれど、はっきり言ってしまうと、
薪づくりの本質は薪割りではない。
本当に重要なのは、「乾燥」だ。
どれだけきれいに割れても、
どれだけ太さが揃っていても、
乾いていなければ、良い薪にはならない。
逆に言えば、
多少不揃いでも、見た目がいまいちでも、
しっかり乾いていれば、薪はきちんと仕事をしてくれる。
薪づくりとは、
「割る作業」ではなく、
乾く環境を用意する作業なのだと思うようになった。
乾燥は、時間と場所がつくる
薪は、置いておけば自然に乾く。
そう思っていた時期もあった。
でも実際は、
置き方ひとつで乾き方は大きく変わる。
- 地面に直置きしない
- 風が通る
- 雨が直接当たらない
- 日が当たりすぎない
これらはテクニックというより、
薪に対する配慮に近い。
薪棚を作るとき、
「どれだけきれいに積めるか」よりも、
「ここで薪は気持ちよく乾くだろうか」と考えるようになった。
薪も、ただの燃料ではない。
木だった時間を経て、
最後に火になる存在だ。
初心者がやりがちな3つの失敗
薪づくりで失敗した経験は、一度や二度ではない。
むしろ、失敗しないほうが珍しい。
その中でも、多くの初心者が通る道がある。
① 太すぎる薪を作る
「太いほうが長く燃えそう」
その気持ちはわかる。
でも、乾かない薪は燃えない。
② 割るのが遅すぎる
丸太のまま放置すると、乾燥は進まない。
割ることで、薪は初めて乾き始める。
③ 置き場所を甘く見る
日当たりだけで選んだ場所は、意外と風が通らない。
結果、いつまでも重い薪になる。
これらはすべて、
火をつける前の話だ。
「まだ燃やせない薪」が教えてくれること
薪づくりをしていると、
すぐには使えない薪がどんどん増えていく。
最初はそれが不安だった。
「ちゃんと間に合うだろうか」
「この薪は使えるのだろうか」
でも、あるとき気づいた。
まだ燃やせない薪があるということは、
未来に火があるということだ。
今は使えない。
でも、確実に先の冬を支えてくれる。
薪づくりは、
未来を前借りしない暮らし方なのかもしれない。
火をつける前に、ほとんどは決まっている
よく燃える日も、
調子の悪い日も、
ストーブの前に座って炎を見ていると、
自然と答えが浮かぶ。
「ああ、この薪か」
火は正直だ。
ごまかしがきかない。
だからこそ、
薪ストーブ生活は、
火をつける前の時間を大切にする。
見えないところで積み重ねた手間が、
冬の炎として現れる。
次回予告
次回は、
「薪割りはしんどい。でも、なぜかやめられない」
そんな話をする。
作業なのか、運動なのか、瞑想なのか。
薪割りという時間が、
なぜ人を引き戻してくるのか。
火の話は、
まだまだ続く🔥


